PARIS GRAND SLAM 2019 Results Female1 #JudoParis2019

女子初日結果

48kg級, 52kg級, 57kg級,63kg級

日 時|2019年2月9日

場 所|フランス,パリ,Accorhotels Arena

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48kg級決勝は近藤選手とKRASNIQI選手(KOS).KRASNIQI選手は,2015年の世界ジュニア選手権大会52kg級の金メダリスト.彼女は,48kg級と52kg級の両方で世界ランキングトップ10に入っている強豪選手だ.コソボの52kg級はKELMENDI Majlinda選手(リオデジャネイロ五輪金メダリスト)と重なるため,彼女は2018年のグランプリ・ザグレブから48kg級で勝負している.2018年のマスターズでは,近藤選手を敗って金メダルを獲得している.この時は,開始早々,近藤選手が巴投を仕掛けるが,それを受けきって立ち上がったところに大外刈を決めて一本.とても力強さを感じる選手だ.本大会の決勝戦は,KRASNIQI選手が前回同様力強く,組み手で奥襟を狙うが,近藤選手はその間合いにさせない.KRASNIQI選手は力強いが,上半身に力は入り腰が高く,脚が立っている感じだ.その状態を見逃さなかった近藤選手は,小内刈を仕掛けるとこれが完璧に決まって一本.マスターズの雪辱を果たした.

52kg級の決勝は,志々目選手と角田選手の日本人対決になった.志々目選手は準決勝で,2013年世界選手権大会48kg級金メダリストのMUNKHBAT選手(MGL)と対戦した.MUNKHBAT選手は,2017年にも世界選手権大会で銀メダルを獲得している.48kg級の世界ランキングは常に上位にいるが,ポイントポイントで52kg級で勝負している.どちらの階級でもオリンピック出場枠の獲得を狙っているようである.準決勝での戦いは,ゴールデンスコアに入ってすぐMUNKHBAT選手が谷落を仕掛けてきたところを受けきり,立ち上がったところに大内刈で一本を取った.角田選手は,準決勝でスペインのESTEO LINNE選手と戦った.ESTEO LINNEは20歳と若く,シニアの大会では結果を残せていない.まだまだ実力差があり,角田選手が背負投と袖釣込腰で技ありをとり,合わせ技一本で勝利した.志々目選手と角田選手が国際大会で戦うのは四回目.志々目選手が2勝,角田選手が1勝での戦いだった.阿部選手が2019年の世界選手権大会日本代表に内定しているため,この直接対決は互いに負けられない.結果を残していけば,2枠階級になる可能性は高い.決勝戦は,その気持ちが見れる試合だった.互いに譲らず,意地のぶつかり合い.互いに指導2でゴールデンスコアに入るが,積極的に攻め合う.最後は,志々目選手が組み際に内股,内股で攻めると角田選手の消極的指導がいき,指導3で志々目選手が勝った.

57kg級は,DEGUCHI選手(CAN)とKLIMKAIT選手(CAN)のカナダ対決.DEGUCHI選手は日本選手にとっても最大のライバルになる選手だ.KLIMKAIT選手も実力をつけてきている選手で,2018のグランドスラム・大阪で優勝し,その後のマスターズも銅メダルを獲得した.グランドスラム・大阪では,富沢選手,舟久保選手,玉置選手の日本3選手を倒していることからも,力がある選手といってよい.2018年の国際大会で両者は3回対戦しているが,全てDEGUCHI選手が勝利している.DEGUCHI選手は,準々決勝で玉置選手を開始早々,力強い大外刈を決めて一本勝ち.順当に上がってきた.KLIMKAIT選手は,MONTEIRO選手(POR),PAVIA選手(FRA)などのベテラン強豪選手を倒して上がってきた.同国対決は,代表権獲得のためにも譲れない試合になる.日本対決も熾烈だったが,この対戦も互いに厳しい組み手争いと足技の応酬だった.試合終了10秒までにDEGUCHI選手が両袖を絞りながら大外刈,大外落と攻めて,技ありを獲得し,試合が終了した.DEGUCHI選手が意地をみせたが,KLIMKAIT選手も力をつけてきている.

63kg級は,AGBEGNENOU選手(FRA)とTRSTENJAK選手(SLO)の優勝候補筆頭対決.AGBEGNENOU選手は,2015年からTRSTENJAK選手に勝てず,苦手意識を持っていて,リオデジャネイロ五輪でも優勝候補でありながら,TRSTENJAK選手に敗れて,金メダルを譲ってしまった.この苦手意識が続くかと思ったが,2017のブダペスト世界選手権大会の決勝で勝ってから自信を取り戻した.その後も,2018ヨーロッパ選手権大会でも勝利した.TRSTENJAK選手は,今大会では準決勝で鍋倉選手にゴールデンスコアに入ってから指導3つを取り,反則勝ち.スタミナ充分で,果敢に攻める柔道スタイルで勝ち上がってきた.世界チャンピオンとオリンピックチャンピオンの戦いといえるよい試合だった.互いに非常に厳しい組み手争いと積極的な姿勢で本戦では試合が決まらない.ゴールデンスコアに入った.ここからは,TRSTENJAK選手がスタミナがあり攻め続ける選手であるため,AGBEGNENOU選手は厳しくなると思った.しかしながら,フランス開催で観客の声援がすごい.AGBEGNENOU選手は集中力がきれずに,積極的に攻める.最後は,TRSTENJAK選手が強引に一本背負投にくるところで間合いをつめ,小内刈で倒して腹ばいになるところをめくって技あり.素晴らしい集中力をみせた.勝負所をものにして優勝.

勝手に選ぶベスト一本|

48kg級の決勝戦 近藤選手とKRASNIQI選手(KOS)の小内刈

大会結果|

48kg級

優 勝|KONDO Ami (JPN)

準優勝|KRASNIQI Distria (KOS)

3 位|GALBADRAKH Otgontsetseg (KAZ)

3 位|VAUGARNY Melodie (FRA)

52kg級

優 勝|SHISHIME Ai (JPN)

準優勝|TSUNODA Natsumi (JPN)

3 位|GIUFFRIDA Odette (ITA)

3 位|GNETO Astride (FRA)

57kg級

優 勝|DEGUCHI Christa (CAN)

準優勝|KLIMKAIT Jessica (CAN)

3 位|TAMAOKI Momo (JPN)

3 位|KIM Jisu (KOR)

63kg級

優 勝|AGBEGNENOU Clarisse (FRA)

準優勝|TRSTENJAK Tina (SLO)

3 位|NABEKURA Nami (JPN)

3 位|LESKI Andreja (SLO)